ママ猫に捨てられてしまった子猫はたくさんの先天性疾患を持っていました。兄猫のオットーは生まれつき頭蓋骨に穴が開いていてヘルメットが必須でした。そして妹猫のバニーは前足がとても短く生まれてきたのです。
ママ猫に捨てられた瀕死の子猫が救助される
カリフォルニア州ロサンゼルスで活動している動物救助団体のBaby Kitten Rescueの責任者であるキャロラインさんは、この2匹の子猫の受け入れ要請が来た時「NO」とは言えませんでした。
運び込まれた2匹の子猫は、感染症による目の腫れなどの症状に加え、ノミが集り、ひどい下痢と出血がありました。それだけでなくこの子たちには前足が変形している状態だったのです。
最初にこの子猫を発見した救助者は、ママ猫が戻るのを何時間も待ちましたが、戻ってきませんでした。
仕方がないので哺乳瓶でしばらくの間この子たちをお世話してきたのですが、子猫たちの手足がなくなっていることに気づき、経験豊富なBaby Kitten Rescueに助けを求めたのです。
元気を取り戻した子猫たち
小さな子猫たちにはそれぞれ名前が付けられました。
お兄ちゃんであるオレンジ色の茶トラ猫は「オットー」
妹の白と茶トラ猫は「バニー」と名付けられました。
2匹の子猫はとても免疫力が落ちていたので、しばらくの間は保育器の中で治療を行いました。
前足が短い妹のバニー
スタッフの賢明なサポートもあり、2匹の体調は安定しました。妹のバニーにおいては、お兄ちゃんのオットーのご飯を横取りしちゃうぐらい食欲旺盛に。
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お腹いっぱいになった後は、大きな音でゴロゴロ音を出してスタッフに甘えたりと、可愛すぎる様子を見せてくれるようになりました。
バニーの前足は保護した当初、ママ猫が彼女の足を食いちぎってしまったのではないかと考えましたが、先天的な前足の欠陥である事が精密検査の結果判明しました。
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腕の付け根にある肉球は彼女の素敵なチャームポイントです。
その他内臓などの異常は見られなかったので、彼女は健康そのものでありました。
兄猫のオットー 頭蓋骨に異常が
お兄ちゃんのオットーは、妹のバニーのように前足が変形していました。
それだけでなく、頭蓋骨のてっぺんに穴が開き、そこから髄液や髄膜が漏れ出す「脳瘤(のうりゅう)」である事が分かりました。
加えて、脳室に髄液が過剰に溜まってしまう水頭症でもあったため、脳内の髄液が溜まらないようにする治療と、骨の成長を促進するための治療を受ける事になりました。
兄猫オットーの頭頂部を守るアイテム
そこでBaby Kitten Rescueのチームは、オットーの頭頂部を保護するため、頭に絆創膏を貼って対応しました。
しかし、絆創膏ではすぐに剥がれてしまうため、さまざまなヘッドギアを開発しました。
最初のうちは手編みのニットで絆創膏を保護していましたが、なんとオットー専用のヘルメットが完成したのです!
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小さい子供が自転車に乗る時につけるヘルメットみたいで、とってもかわいい!
ヘルメットのお陰で、オットーの頭を消毒した後でも、清潔を保つことができます。
兄猫オットーの治療計画
しかし、一生ヘルメットをしたまま暮らすわけにもいきません。しかし彼は、水頭症を患っていたので、頭の穴を塞いでしまう事にはリスクがありました。
しかしMRIで検査した所、なんとオットーの脳内に溜まっていた余分な髄液が無くなっていた事が判明したのです。
この結果からオットーは頭蓋骨の穴を塞ぐための外科手術を受けれる事が決定しました!
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そして、今年11月。
オットーは最高の脳神経外科医Li博士のいるUC Davis Veterinary Medicineで手術を受け、晴れてヘルメット生活から解放されました!
実はキャロラインさん、オットーの症状がとても稀なことだったので、この子の症状について研究してみませんか?とLi博士に相談をしていました。
Li博士はオットーの治療データを基に論文を作成しており、将来、脳瘤を持つ数え切れないほどの子猫を助ける手順となるそうです。
保護されてから約5か月、オットーは治療を頑張りました!彼らのお世話をしてきたスタッフたちも、オットーの頭からヘルメットが取り外される日が来るなんて想像できなかったでしょう。
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オットーとバニーは新しい家族を募集していますが、2匹一緒にお迎えしてくれる人を探しているそうです。彼らは前足にハンディキャップがあるため、トイレに行きやすいようにスロープを作るなど、お家をバリアフリーに対応してくれる飼い主さんを求めています。